ギザのピラミッド ギザの観光 ラクダと砂漠とベティちゃん

スフィンクス旅行記

marukunさんの旅行記

テーマ:世界遺産・遺跡・秘境

旅行記タイトル:ギザのピラミッド ギザの観光 ラクダと砂漠とベティちゃん

旅行期間:1993/10/〜1993/10/

旅行記の内容:http://plaza.rakuten.co.jp/hunkorogashi/






10月のばら  


ラクダ使いのモーセスと出遭ったのは、ギザのピラミッド入場券売り場で10ポンド支払い、ゲートを潜る前か後だったか・・・・。
 
妻と私はピラミッドのお隣さん、であるM・H・オベロイ・ホテルから出発するのを、ホテルの部屋の窓の外に戸惑い、すっかり陽が高くなってからピラミッドへ向った。

ギザ台地は半砂漠地帯特有の昼夜の温度差のせいで、早朝から濃い霧に包まれており、なかなか出発するタイミングが難しかった。

霧が空けるまで待っていたのだ。
 
雄大なナイル川を上流に向って凱旋したカイロ。

最後の一日を悠久の歴史を刻むピラミッド見学―――、我ながら演出もバッチリだったと、旅の邂逅にほくそ笑みつつ、妻の手を握り締めてでかけた。
歓心しつつも、しっかり頭に叩き込んでいることがある―――それは、悪名高きピラミッド観光の魔手
―――「お上りさんをラクダに乗せて、不条理な金銭を要求するとされるラクダ使いの方々」・・・のことである。

写真を撮っただけで、5$―――ちょっと乗るだけただよ・・で降りるのに有料(笑)――金を払わないと、大勢の男たちに囲まれ、追いはぎの目に遭う――・・・・・どのガイドブックにも「ラクダ業者さん、素敵!」・・などという記述はなかったはずだ。

人類の偉大な遺産であるロマンは迫り来る砂漠化のごとく侵食されているのだ。
ここはバクシーシ(小銭恵んで)の国なのだ。


さて、善良な私たち夫婦の運命やいかに――――。
 

ピラミッド地区への入場料を払い、ゲートをくぐったとたん、肌の黒いラクダ使いが、
「ハァロゥ????♪マァイ??フレンドゥ???♪」と、まるで10年来の旧友との再会のように声かけてきた。
男は手下を従え、彼らはラクダ1匹と何故かアラブ馬3匹の手綱を持っている。
折からの霧のせいか観光客はまばらのようで、彼は待ちくたびれていたのだろう。

「そら、きたぁ??」内心ほくそ笑みつつ、彼の存在など全く気にかけないぞ!主義で私は素通りした。

正面に迫るクフ王のピラミッドを「近くに行くまで見上げまい!」と心に決めて、まっすぐ正面を見据えて歩き進んだ。

ん?連れ合いの気配がないな・・・。

と、後を振り返った――――――。

「!!!????」
なんと、妻ははるか高みから私を見下ろしているではないかっ!!
彼女はラクダに乗っている!
なんたるちーや!あれだけ警戒してたのに・・・・敵は本能寺にあり!!
「バカバカバカバカぁ?・・あれだけっ!ラクダには乗らんっ!言うたのにっ」
「えっ????だって【乗せてくれた】んよぅ?♪」
・・・・・・・あのなぁ・・・・空は先ほどまでの霧がウソのように、雲ひとつなく晴れ渡っている。

しかし、その空は何故か黄色がかっている。

妻は付け加える。

「それにね、このおじさん、ノーマネー・・・って言うんよ」と、くったくなく応える。

彼女が乗ったラクダのヌボッ??とした顔と彼女の顔が重って見える。

私は、この国を旅する旅人として最低の「マナー」を身に付けていたつもりなので「ノーマネー」がナニを意味するかは、心得ているつもりだ。
微塵足りとも信じてはなりませぬ!・・・・・・
が、すでに飄々とラクダに乗り行く、三流女坊主の後姿に心細くなり、仕方なくついて行くことにした。

呪いの言葉をめーいっぱい浴びせ掛ける孫悟空のごとく・・・。

何故か、手下が引く馬に乗って・・・・・・・・・・・・・・・

写真:http://plaza.rakuten.co.jp/hunkorogashi/






10月のばら  


ラクダ使いのモーセスと出遭ったのは、ギザのピラミッド入場券売り場で10ポンド支払い、ゲートを潜る前か後だったか・・・・。
 
妻と私はピラミッドのお隣さん、であるM・H・オベロイ・ホテルから出発するのを、ホテルの部屋の窓の外に戸惑い、すっかり陽が高くなってからピラミッドへ向った。

ギザ台地は半砂漠地帯特有の昼夜の温度差のせいで、早朝から濃い霧に包まれており、なかなか出発するタイミングが難しかった。

霧が空けるまで待っていたのだ。
 
雄大なナイル川を上流に向って凱旋したカイロ。

最後の一日を悠久の歴史を刻むピラミッド見学―――、我ながら演出もバッチリだったと、旅の邂逅にほくそ笑みつつ、妻の手を握り締めてでかけた。
歓心しつつも、しっかり頭に叩き込んでいることがある―――それは、悪名高きピラミッド観光の魔手
―――「お上りさんをラクダに乗せて、不条理な金銭を要求するとされるラクダ使いの方々」・・・のことである。

写真を撮っただけで、5$―――ちょっと乗るだけただよ・・で降りるのに有料(笑)――金を払わないと、大勢の男たちに囲まれ、追いはぎの目に遭う――・・・・・どのガイドブックにも「ラクダ業者さん、素敵!」・・などという記述はなかったはずだ。

人類の偉大な遺産であるロマンは迫り来る砂漠化のごとく侵食されているのだ。
ここはバクシーシ(小銭恵んで)の国なのだ。


さて、善良な私たち夫婦の運命やいかに――――。
 

ピラミッド地区への入場料を払い、ゲートをくぐったとたん、肌の黒いラクダ使いが、
「ハァロゥ????♪マァイ??フレンドゥ???♪」と、まるで10年来の旧友との再会のように声かけてきた。
男は手下を従え、彼らはラクダ1匹と何故かアラブ馬3匹の手綱を持っている。
折からの霧のせいか観光客はまばらのようで、彼は待ちくたびれていたのだろう。

「そら、きたぁ??」内心ほくそ笑みつつ、彼の存在など全く気にかけないぞ!主義で私は素通りした。

正面に迫るクフ王のピラミッドを「近くに行くまで見上げまい!」と心に決めて、まっすぐ正面を見据えて歩き進んだ。

ん?連れ合いの気配がないな・・・。

と、後を振り返った――――――。

「!!!????」
なんと、妻ははるか高みから私を見下ろしているではないかっ!!
彼女はラクダに乗っている!
なんたるちーや!あれだけ警戒してたのに・・・・敵は本能寺にあり!!
「バカバカバカバカぁ?・・あれだけっ!ラクダには乗らんっ!言うたのにっ」
「えっ????だって【乗せてくれた】んよぅ?♪」
・・・・・・・あのなぁ・・・・空は先ほどまでの霧がウソのように、雲ひとつなく晴れ渡っている。

しかし、その空は何故か黄色がかっている。

妻は付け加える。

「それにね、このおじさん、ノーマネー・・・って言うんよ」と、くったくなく応える。

彼女が乗ったラクダのヌボッ??とした顔と彼女の顔が重って見える。

私は、この国を旅する旅人として最低の「マナー」を身に付けていたつもりなので「ノーマネー」がナニを意味するかは、心得ているつもりだ。
微塵足りとも信じてはなりませぬ!・・・・・・
が、すでに飄々とラクダに乗り行く、三流女坊主の後姿に心細くなり、仕方なくついて行くことにした。

呪いの言葉をめーいっぱい浴びせ掛ける孫悟空のごとく・・・。

何故か、手下が引く馬に乗って・・・・・・・・・・・・・・・

ラクダ使いは観光客相手に「観光」とは無縁とばかりに、あれよあれよと先へ進んだ。
ラクダの一歩を追う馬は滑稽に見えることだろう。

その馬上の私はもっと滑稽だ、トホホホッホ・・・・。

なんで、私は馬なんだ?
ラクダ1頭と馬3頭のご一行様は、あっという間にギザ地区最大(つまり、世界最大)のクフ王のピラミッドを過ぎてしまい、続いて神秘のカフラー王のピラミッドまで遥か後方にしてしまった。

そして、こうして近づいてみると、崩れかかっており、1基だけだとなんだかうら寂しいメンカウラー王のピラミッドの前で、
「入るか?」と、ラクダ使いの男は自慢ゲに尋ねてきた。

――なんで、ここで止まるねん――
恨めしそうにクフ王のピラミッドを見上げた背景の空は蒼に黄色い粒子を散りばめたように、妙に黄色っぽい・・・・。

「いいや、クフ王の、だったら入る!」
「クフ王は、ほら、もう過ぎたよ・・」
「過ぎたのは、あんたのせいだろっ!!」
このやりとりの、ほんの少し前、二人は前方を悠々と行くラクダの後方で馬上でネチネネチと口論していたのだった。

このすれっからしの、ラクダ屋モーセスと、―?名前なんか知りたくもなかったが
妻は旅中出遭ったお友だち欄のメモ帳にしっかりサインしてもらい、つけ加えていたのだった――、金を払うの払わないのとかんかんがくがくやりあった挙句の果てに温厚な稲作民族は百戦錬磨の騎馬民族に折れていたのだった。

払った額は実に20$・・・・・・・・・!
なんだか、ガイドブックの諌め、どおりの行動だった、トホホホ・・・・・・。

「ここ、入るのどうする??」と、旅も後半を過ぎ、決してご機嫌も麗しいとは言いがたい少々疲れ気味の姫にお伺いをたてる。

姫は私の意など解する風もなく、あっさりと、
「入ろうよ」とのたまう。

ふーん・・・それならそれで、この五月蝿い彼らをとっとと追っ払って、
「後からゆっくりと、二人で入ろうか?」という、かのナポレオンも兵士を檄したときに使った「5千年の歴史にあやかる」、ロマンチック・ジーャニーな、私の提案を、
「ん?なんの意味あるん?今、入ればいいことじゃない」と、軽く一蹴した。

・・・・・返す言葉もないが、この剛毅な女なら、さっきの20$も取り返してくれるの違いないと、根拠もなく淡い期待をこめて、先刻のいきさつを告げた。

「なんで、そんなに払うの!!『ノーマネー』って言うから乗ったのに、お金払えと請求されれば、降りればいいことでしょ!!」
「ほんなん、言うたって、ラクダから降りるのタイヘンよぉ??。
2階から飛び降りるくらい、なんにょぉお??」
「じゃあ、2階から飛び降りればいいんですっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

ああ、そうですかっ!私は剛毅な女の力を発揮する【矛先】を、すっかり読み違えていたのだ。

それに、・・・・・私は馬からもよう降りん・・・。

渋々、私はモモタローなる主の後をキジだかイヌだかサルだか知らぬがお供するがごとくついて行くはめになった。

 しかし、このメンカウラー王の内部の通路はロマンもマロンもない世界だった。

そこは、終始尿などの異臭ただよう換気のない誠に不衛生な場所だった。

二人は終始無言で、幾つかの空間も感慨もなく過ぎていった。

めざすは太陽の下、それだけだった。

しかし、ピラミッドの場外は眩しい太陽の元へ、というより忌まわしいモーセスの
元へ帰った、というほうが正しいのが癪だ。

「グッド???」黒づんだ肌で痩せぎすのモーセスは白い歯を向けて満足げに尋ねてきた。

「はいはい、グッド??」―ぜんぜん、ノー・グッド!!!―
 再び、憎きモーセスの従僕となった私たちは――とはいえ、妻は全然そんな気配はなく、かなりモーセスと仲良くしてたが・・――、現代の墓地を横切り、河岸神殿やスフィンクスというギザ地区のもう一方の雄たちをも、全く無視して場外へ出てしまった。

もう、わやくちゃや!
そして、案の定というか、馬上のまま連れていかれたのは、ラクダ使いたちとグルであるに違いない土産物屋だった。

私たち生贄は、ラクダ屋から、パピルスの女店主にバトンタッチされたのだ。



「マイフレンド!」黒人店主が勢いよく微笑む。
あんたもかいっ(笑)。

抱きついてこんばかりの、馴れ馴れしい女性店主を無視して、
2階の階段をあがった。

それが、そもそも間違い、の始まりだった―――――。

 2階は所狭しと、香水入れのガラス瓶が棚に陳列されていた。

私背の高い店員に供されたカシス茶を飲みつつ、カモになるであろう生贄の役を先刻の復讐のつもりで、その役を妻に負わせた。

 ベティーチャンが「中年になってグレたような」女主人が「クリスタル!」と主張する2本の「夫婦茶碗」ならぬ「2本の香水瓶」(笑)を手にするまで、先ほどまで馬に乗って揺られていたのと同じくらいの時間を要した――――。

「そんな安値では、ボスに首になるわ・・」と首をたれながらげんなりして言う店主の言動から「ゴッドファーザー」を彷彿させられ、ややビビッタが、
「嘘や、嘘や、。
目の前におるのが、そのボスや。
交渉せえよ!」
彼女に押し付け、カシス茶のまずさに眩暈を覚え、口直しにと、彼女の生ぬるいコーラなんぞを飲んでいたら、
「・・・・・・えーと、あのー、えーーーと・・・・・・・」
・・・・・・・・こっちまで句読点だらけの、かくも彼女の時間は優雅に流れているのであった。

結局、1本1万2000円だったクリスタルなるグラスを8000円で両者が折れることになった。

めでたい結末かどうかは、定かではない。

しかし、まぎれもなく我が家の家宝になるべく、手に入れたものだ。

が、・・・・・今だもって、食器棚の奥深く眠っているままだ。

一緒に買った、クレオパトラとアレキサンドリアという怪しげな香水とともに。

この店の名前を明かすことはできない・・。

が、スフィンクス正面のチケット売り場を出たところすぐにある。

誰でもすぐわかる。
通りかかれば、間違いなく「マイフレンド???」とにこやかに、ベティちゃん(?)が手を引っ張っていってくれるだろう。

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